バス因子
チームメンバーの1人がある朝、バスに轢かれて死んでしまったときに、その人物しか知り得ない一部の業務があり、それが業務全体に影響を与えてしまう因子のことをバス因子と呼ばれる。
なぜバス因子になってしまうのか?
業務全体を俯瞰して見れば、当然このバス因子というのは、問題だし価値がないと思える。しかしあまり意識せずに日々過ごしていると、自分自身がこのバス因子に気づかないうちに陥ってしまっている。
個人の体験としては、このバス因子になると、自分しか知り得ない情報を持っているという感覚になりやすく、また周りからも「あなたがいないと業務がまわりませんよ」といった評価も獲得することができ、気持ちが良い。そのため、つい意識しないとバス因子になってしまう。
バス因子の状態は危険
会社という視点ではなく、個人の視点でも、バス因子の状態でいるのは、非常に良くないと考えれる。それはバス因子という状態は、基本的には、変化していない状態を意味することが多い。
「あなたがいないと業務がまわりませんよ」という状態では、あるタスクを自分の中で決まったルールで毎回実行しているだけで、本当は、何か難しいことをしているわけではない。つまりそういった職場に1年いれば、1年変化がない。現代、1年間も変化がないというのは、恐ろしく自分の業界での価値を低下させていることを意味する。
その事に気づくとバス因子でいることは、個人にとっても非常に危険な状態だと分かる。
バス因子をやめる
既に私自身バス因子となっている部分が多々あったことに気づいたので、それをやめることにした。
まずは、マインドからということで、毎日「俺は、バス因子か?それなら、何が原因か?」と問い続けるようにしている。
それから、ドキュメントを残すということを常に意識する。それと同時に、そのドキュメントを受け取って欲しい人がちゃんと受け取っているか?も意識して確認しないと、このバス因子から抜け出せない。
そのためには、ドキュメント化した後に、ハンズオン形式のミィーティングを開催したり、その同僚に逆に先生役をやってもらったりすると、より一層理解が深まり、どんどんとバス因子から遠のいていく。
バス因子が解消してくると情報が回り始め、ある業務が不完全であることが判明し、より確かなものにアップデートすることができたり、意見交換が進み、より効率的なものに進化するチャンスを得るなどの現象が起こり始める。つまり変化が始まる。
最後に
バス因子や暗黙知を作らないということで、ドキュメント化を進めるという話しは、よく聞くが、ドキュメント化だけで終わってしまうとやはりあまり意味がない。
コミュニケーションと一緒で、伝えたいことを相手がどのように受け取ったのかまでを確認して、優雅な変化があり続ける人生を楽しみたいと思ふ。